『帰ってきたヒットラー』

友だちから借りたこの本、文庫で上下2巻とはいえ昔のように細かい文字ではなく難解でもなく面白いのにえらく時間がかかってしまった。読書に費やす時間が減っていて、やっと本日読み終えた。本を読んでみると、映画観れば良かったなあと後悔。タイトル通り、ヒットラーが今のベルリンに戻って来たという設定。こういうのってSFタッチになることが多いように思うがこれは、当人が自分が自殺したことを知らずに生き続けていて、しかも一人称小説なので、ヒットラーの視点から世の中を見ることになるのがリアル。それで、帰ってきたヒットラーが何をするかというと、スカウトされてテレビ番組に出るようになり、ユーチューブでも大ヒットとなる。

メディアをどう使うかはお得意技なわけで、自分のブレインを思い出したり持論を披露したり。それに何を見ても、洞察力がすごくて、さすが、などと思ってしまう。基本知識がなくても丁寧な注釈があるので分かりやすい。解説の次の文章に深く納得。思い浮かぶ人もいるいる。「周囲の森羅万象を、オレ的な文脈ですべて徹底的に再解釈しつくす、そして言語的に定義する。すると周囲に一種の疑似世界が生じる、というヒットラーの『根本原理』が、作中で見事に機能しているのだ」。笑いながらゾッとできる面白くて濃厚な内容。解説がいくつかあるので助かる。

by kienlen | 2016-07-17 21:18 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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