木靴の樹

今朝は朝からかなりの雨。昨日は打ち合わせを兼ねたランチに出た以外はどよんとした空気の中で本を読んだり眠ったりと怠惰に過ごし、夕方になってから、暇になったのだから映画に行こうと急に思い付き、今から間に合うのがあるかチェックしたら、これがあった。イタリア映画、1978年制作でパルムドール賞受賞。宣伝チラシの表紙は子ども。とにかく時間的に合うというだけで行った。観客は自分含めて2人。娘がつい最近映画観に行ったら満席で入れなかったという東京事情を考えると贅沢というか。7時10分から始まり、妙に長いなと感じていたら3時間以上もある長編だった。映像がものすごくきれい。出演者が、舞台になった北イタリアの農村の農民ということだったけど、信じがたい巧さというか、そう感じるくらいに、農民の日常生活をそのまま撮っているドキュメンタリーのようだった。

時代は19世紀の後半、ということはイタリアはまだ王国で、日本では江戸から明治になる頃で、まさに近代の始まり。何といっても印象的なのはカソリックの浸透ぶりで、主の与えた通りに生き、拠り所は教会。時間を管理するのも教会の鐘の音。種を撒いて実りに感謝し、動物と一緒に近隣と助け合いながら生きる姿に、農民ってどこも同じだなと感動する。子どもが大勢出てきてすごくかわいいが、その中の一人が神から知恵を与えるように選ばれたと神父に命じられて学校に行くことになる。親も学校になど行ってないので躊躇はあるが深い愛情で受け入れ遠距離を通学させる。このことが大変な結果につながるというのはタイトルから想像できるが、映画全体の中でこのエピソードを中心に物語が進むというのではなくて、小さなエピソードの積み重ね、つまり日常ってこうだなという感じ。まだ伝統にのみ生きる農村の新婚カップルがミラノに行った時の様子がこれから起きることを暗示していて、さらに一歩修道院に入ったらまた別の世界がありと、時代の変わり目をこんな風に描けるなんて。比較的最近観たのではアラヤシキの住人が雰囲気似ていたと思った。とにかく美しく、ジンとくる。観て良かった。

by kienlen | 2016-07-13 08:22 | 映画類 | Comments(0)

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