野火

地元の映画館で市川崑特集をやっていてラインナップに「野火」が入っていたので観たいなと思っていた。昨夜時間があり行ってみた。これを観たいと思った理由は塚本監督の野火とどう違うんだろうかという興味からだった。大きな会場に観客3人。入ってから早々に後悔する。こんな怖い映画を2度も観るなんて、何なんだ、と。この間も友人たちが「映画は娯楽だからそうじゃないのをお金払ってまで観たくない」とか「日ごろが深刻だから映画くらいは楽しくないと」とか言っているのを聞いて、それに、そう言う人はとても多いのだが、じゃあ自分もそうかというと、その通り、と言える自信がなくて話に入っていけない。それでじゃあ何を求めてなのか、となると、実のところ内容そのものよりも、どういう風に描いているのか、どう表現するかの方に興味があるように思う。これってもう病みたいなものかもしれない。別に映画作っているわけでもないのに。いつ「映画は娯楽じゃないとね」と言うようになるのか、とりあえず現時点ではそこまで言えないというメモ。

さて、野火。塚本監督のを昨年観た時にまっ先に感じたのは原作に忠実ということだった。同時に、本を読んでない人が観たら奇をてらっているように感じられるんじゃないだろうかとも感じた。ただ実のところそんなにちゃんと覚えているわけでもなく、忠実だと思っただけにどっちが本でどっちが映画の場面かも混同しているのだが、市川版のは独自性を強く感じた。それと適度に説明的で流れが分かりやすかった。でもでも、これも本読んで塚本版観ているからそう感じられたのかもしれないし、分からないのだ。しかしあの場面を教会ではなくしたのはどうしてだろうかとか、あそこに人がいたのはなぜだろうかとか、銃を捨てる場面で片やかなりの思い入れを感じたが、こっちはさり気なくしているなとか、色々と面白かった。最後が塚本版とは全く違った。うーむ、やはり良かったなあ。観ている時は逃げ出したくなるが、後に残るのって自分にとってはこういう映画かもしれない。サウルの息子の印象にちょっと似ていた。
by kienlen | 2016-05-24 10:52 | 映画類 | Comments(0)

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