サンダカン八番娼館

昔の映画のDVDを送ってくれる友だちと、私が棄てた女について電話で話している時に「じゃあ、サンダカン八番娼館も好きじゃないかもな」と言われ、直感的にそんなことはないぞと感じたので一昨日に観てみた。山崎朋子の原作は読みたいと思いつつ読んでいないまま。東京から天草に調査に来る作者と思われる女性は栗原小巻で、元からゆきさんを演じるのが田中絹代。田中絹代がかわいらしかった。過去と現在を行き来しながらこの元からゆきさんの人生を語る形式で進行するのだが、過去の時代、つまりマレーに売られて身売りをすることになる娘時代が高橋洋子。監督は熊井啓。

その友だちに「とても良かった」と伝え、何が良かったかと聞かれ、高橋洋子が良かったと言ったら、巧いというのじゃないけど感じがいい演技だよね、それって大事かもね、と言っていた。過去を語ることを拒む人々の中で、調査者がひとりに取り入って時間をかけて話を聞き取ることになるわけだが、調査であることは秘密にしている。でも、当人はどこかで気付いているようにもとれるし、重たい過去を持つ村人と都会からのよそ者との間の微妙な距離感が、分かるなあと感じた。政府の方針に沿って掌を返す女衒の様子とか、ボロボロになって故郷に戻って待っていたのがこの仕打ちというあたりとか、まじめな映画に好感だった。

by kienlen | 2016-05-05 12:00 | 映画類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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