ビルケナウ

しばらく前、車に乗ったとたんに聞こえてきたラジオに思わず耳を傾けた。番組の途中だったので、ホロコーストを生き延びた人が書き残したものの朗読なのか、あるいは当人の語りなのか分からなかったが、とにかくナチスの収容所での体験だった。収容所に到着して選別される時、語り手の前に大変美しい女性がいて選別者が「おまえのような美しい女性が殺されるのは残念だ」と言い、その場から歩いて去るように告げられる。羨望の視線もあっただろう中を彼女は歩き始めが、しばらくして背中を撃たれて倒れた、という内容だった。この話を、ビルケナウ収容所の景色を思い浮かべながら聞いていた。この間の旅行の一番の目的はアウシュビッツで、行って初めて、映画などによく使われて見慣れた収容所跡はビルケナウなのだと知った。まったく知らないことだらけ。クラクフという古都から車で2時間くらいのビルケナウを見学して、アウシュビッツはそこから5分くらいだけど、一応別々の収容所なのだった。
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これが入口の門。ただこちら側からだと線路が少ししかないので、映画などに使う場合は以下のように内側から撮るのだそうだ。
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ずっとどんよりした天気で、ガイドさんも、ポーランドの冬はだいたいこんな感じですよと言っていた。
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ユダヤ人を運んだ列車。生きのびた人がドイツで探して買い取ってここに寄付したのだそうだ。ガイドの話を聞く方が優先で写真をあまり撮れなかった。たまたま出発前に、あちこちで写真を撮っている人と知り合ったが、アウシュビッツでは撮れなかったと言っていた。しかし自分はそういう感じにならなかった。あまりに何もないから。年数が経っているというだけでなく、とにかく跡形もなく処理するのが目的だったわけで、その徹底していることの恐ろしさを想像するに充分な跡地である。
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Commented by jun at 2016-05-01 07:15 x
あまりに何もない、という現場ならではの感想が重く響きます。先日見た映画では、ユダヤ人にも大量殺人の片棒を担がせて軍隊的な支配と秩序を保っていた様子も描かれていました。また、移送目的の為という嘘で、消毒部屋に男も女も丸裸で入れられ殺されるのと平行して脱衣の中から金品を奪うということが第二の目的とでもいえるようでした。
日本でも終戦直後、満州からの帰国列車とソ連兵に言われて乗せられた大量の日本人が、シベリアに送られたのは有名な話ですね。
今になって色々と史実を見聞きするだけで余りにも知らないことが多いです。
いつも貴重な報告を有り難うございます。
Commented by kienlen at 2016-05-01 21:38
私も見てきました。キツかったです。
by kienlen | 2016-04-30 18:35 | | Comments(2)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


by kienlen
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