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『モンスターマザー』

サブタイトルは〝長野・丸子実業『いじめ自殺事件』教師たちの闘い〟。ネットでたまたま見つけて県内のことでもあるし興味を持ったが、今年は本を買うのも躊躇する経済状況ゆえ必読というのでもないしと保留にしていたら、持つべきは友だちという経緯で読むことができた。ありがとうございます。ルポを読むのは久々、多分。約10年前、バレーの名門高校のバレー部員が自殺という事件を知らなかった。10年前といえばまだ子どもが本物の子どもで、色々と今とは異質のやっかいな時期とはいえ、見逃すには相当に身近な事件なはずなのに。

読んでいて気分の良くなる内容ではない。遺族である母親が学校長やいじめたとされる生徒を訴える。校長に対しては殺人罪。これを決めたのは、いじめ事件を得意とする弁護士。ところが逆に学校長も、いじめたとされる生徒たちもこの母親を訴え、弁護士をも訴えるという展開に。国が目指しているように見える訴訟社会ってこれかと思うと暗澹たる気分になる。こういう多面性のある問題をノンフィクションで書けたのは、母親の人格がここまで極端だったからに違いない。家族問題、学校と家庭との関係、報道、裁判、サイコパスその他様々な現代の問題について考えさせられる本だった。

by kienlen | 2016-04-03 22:35 | 読み物類 | Comments(0)

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