『百年の孤独』

読みたいと思いながら読んでない本はあり過ぎるほどあって、マルケスのこの本もその中の有力な一冊。昨年だったか娘が読んで、ひじょうに良かったと言っていたので余計に挑戦しようかという気になっていたところに読書会の課題になったのでいい機会で読んでみることにした。2,3ページがなかなか進まなくて何度か読み返し、挫折しようかと思ったけど、課題という動機を支えにがんばることにした。日常生活の課題は時間をいかに使うかなのだが、その中で読書に割いたら他ができないわけだが、もうこれもクセというか強迫的になっているような気がする。そういうことを考えながら読むってどうなの、というところではあるが、ただこれはとても面白かった。いかにも小説なスケールの大きさと、匂いから土埃の感覚から五感にストレートに伝わるものすごいリアルな詳細描写が、地球の上の出来事を泣き笑いしているようで、地を這いながら空を飛んでる気分だった。虚無感と高揚感の同時振動という感じ。子どもの時によく見た空を飛ぶ夢はこんな風だった。ここに落ちそうな不安を加えれば。

実はストーリーを分かっているかというと自信がない。登場人物が多くて同じ名前の人が多いし、死者と生者の区別もなくなることがあったり、つじつま合わせを考えていると進めないので、長大な詩だと思いながら読むことにした。そうしたら格段に面白く感じられるようになった。それに、話の運びはこの方が自然。というのは、人間の意識の中では死者と対話したりそこにいるような気がしたりというのは日常なわけで、それを物語にしたらこういう感じだろうという意味で違和感がなかった。土の匂いがして、虫のうごめきを感じて、コロンビアは行ったことないけど、きっとこういう感じなんだろうと想像できる。タイに行った時にもまっ先に感じたのが南国の生命力だった。蟻がここまで強力なんだというのも経験したので、最後の場面も、これってきっと日常の中に落とし込める程度の事態なのだろうと思う。読書の快楽という言葉が浮かぶ時間を過ごすことができた。それにしてもこのタイトルも素晴らしい。



by kienlen | 2016-03-20 10:35 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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