『駅伝マン 日本を走ったイギリス人』

イギリス人ジャーナリストで、長距離ランナーでもあり、ケニアに取材に行ってケニア人選手と一緒に走った著書もあるフィンさんという方が書いた本。書店で見つけて面白そうだなと感じて何の予備知識もなく購入。私としては実に面白かった。まず書き方が分かりやすくて巧妙。過度でないおふざけ表現とユーモアがあり、取材においては色々手を回しているに違いないと思われるが、その辺もコンパクトにして面白さに貢献するようにしている。走るとは何かという著者がずっと考え続けているテーマを探る一貫として、日本人のマラソンに対する意識や、アフリカ勢をのぞくと世界的長距離選手を輩出している理由を探りに家族で来日し、旅の顛末や子どもが通った学校のことや妻の皮膚病のことなどのエピソードも入れながら、軽いタッチでマラソンについて深い洞察をしている。

駅伝が日本独特の競技であることは知っていた。箱根マラソンへの負の評価も知識としてはあった。駅伝チーム監督本も何冊も読んだ。名の知れた監督の話を聞いたこともある。でも、外国人から見た日本の駅伝及びマラソンという視点は初めて。英語的にはマラソンの中に千日回峰行も入ってしまうんですか、というのも新鮮だった。著者が現役ランナーで走りに対するすごい情熱と向上心があり、タイムを縮める飽くなき努力をしている人なので、大学のチームに紛れ込んでみたり実業団チームに入り込んだり、地域の子どもたちの練習に参加したり、挙句は駅伝の魅力を実感するために自分のチームを作ろうとするという参与観察ぶりが楽しい。日本語ができないドタバタぶりもすべてネタという合理的なスタイル。最初から日本市場向けに書いたんだろうなと感じる。国民性論とか文化論とか、ほんと読む気になれないのもあるけど、これはバランスがいいと感じた。なるほどと思う点が多く、笑えるし、好みでした。

by kienlen | 2016-02-04 22:30 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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