『今夜、すべてのバーで』

中島らも著。好きな作家のひとり。かといってそんなに読んでいるわけでもない。読むとさらに酒を飲むようになりそうで怖いというのもある。今回読んだのは、古典が多い読書会の課題になぜか入っていたからで、しかも好きな作家だしで。それにしても私はこれを小説の世界で他人事として読むことはできない。アルコールへの依存度は相当に高いからだ、危機的かもしれない。この小説の最初の方にある、自覚があってその関係の本を読むのは、どこかでそこまでは至っていないと確認したいからであるというようなくだりは、もう本当にリアルであると思うくらいに依存している。これでこれ以上の量になったらアル中になる。母方直系にはアル中で死んだ人とか精神病院で死んだ人がいて、母は自殺なんだから、素質なしとも言えないのだ。そうしたいわけでは断じてないが、そうしたくないことをしないで済むなら人間社会はもっとマシになっていると思われるし、だいたいこんなことを書いていること自体がもうダメじゃないか。ああ、手が震えてきた気がする、という感じを読みながらずっと持っていた。

内容は極めてまじめだった。依存性のない大麻は禁止して使用者を犯罪者にしておきながらアルコールの野放し状況への強い疑問はごもっとも。まあ、かといって禁酒法なんかあり得ないというか弊害が大きいことは歴史が証明しているんだろうけど、もうちょっと買うハードルを上げてもいいんじゃないかと具体的な提案をしているのはうなずける。もっとも今は未成年の飲酒にはかつてよりは厳しいようで、中学生といっても通用しそうな娘など、友だちと居酒屋に入る時、自分だけ身分証明書提示を求められるそうだ。ということはアルコール問題が深刻化しているという証かもしれない。あんまり喧伝して経済に悪影響を及ぼすわけにいかないんでしょうが、それにしてもすさまじい酒の宣伝には疑問を感じなくはない。私は甘いドリンクが嫌いなので女性向けに販売されているようなのは全く興味なしでまだ助かっているかもしれない。いや、逆かな。ああいうので満足した方がいいのかもしれない。いずれにしろ、小説読んでの感想がこれって、アルコールに捕らわれているということに間違いない。ちなみに、大変面白かったし誠実で好感。こういう話を別世界のことと思える人、それはつまりアルコールに限ったことではなくて、何事にも深入りし過ぎないでそこそこで済ませられるタイプってたまにはいるんだろうなということは感じる。羨ましい気もするが、今さら戻れない、いつの時点に戻ったらいいのかも分からない。


Commented by jun at 2016-01-25 13:15 x
ハードボイルドやロマンチックな内容の本ではないのですね。
読んでみます。
私が小説読むって、楽しさや辛さを味わいながらも、どうにもなりにくい心の折り合いをつけていく過程のような気がしています。私はマゾかも。
映画はkienlenさんとは今回は被らず、「リライフ Re:LIFE」を観ました。ヒット作から遠ざかっている脚本家が片田舎で再出発する物語。ヒューグラントはともかく、J.K.シモンズが笑わせました。
私も人生再生しようかな。昨日はとりあえず、いつもと違うソイラテをタリーズで飲みました。
Commented by kienlen at 2016-01-26 08:40
junさん、これはどういう分類に入るんでしょうか、アル中で危なくなって入院した時の実話も入っている小説ですね、たぶん。愛を感じられて好きです。リライフも観たいな。ちょうど今、友だちがまさに人生の再出発を賭けて脚本書いているまっ最中なのでよけいに。
by kienlen | 2016-01-24 17:54 | 読み物類 | Comments(2)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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