『緋文字』
2016年 01月 12日
しばらく前に読んだ本。ホーソン作。タイトルと作家名は聞いたことがあるな、くらいでこのように古くて文章がややこし目で慣れるまで出だし部分だけでも何度も読み返さざるを得ない小説を読むのはいつものように読書会の課題だから。そしてしばらくするといつものように文体にも慣れて面白くなり、いつものように止められなくなり、最初に挫折しなくてよかったなと思い、しかしだからといってここまで時間かけて小説読むのって単に暇だからなのかと自問し、まあ後先考えてもしょうがないしとりあえず楽しいことしようと自答し、すごいすごいと思いながら読み進めて、ああ素晴らしかったと終えるのもいつもの通りだった。こういう大仰なのを読んでいるとクセになり、ライトなのが物足りなくなってしまうという兆候はすでにあり。
それにしてもこれは本当に面白かった。物語の始まりは、赤ちゃんを抱いた女性が衆人の目にさらされ、監獄に戻るところから。何をしたかというと姦通で、その罪の証を胸に縫い付け、一生その罪を背負っていないとならない。アメリカ合衆国として独立する前の17世紀半ば、ピューリタンの厳しい戒律に覆われたボストンのコミュニティが舞台。時代が全然違うし、自由度もそれは桁違いだけど「ライアンの娘」を思い出した。もっともあちらは牧師が調整役で悪役ではなかったけど、こちらは牧師がキーパーソンになっている。そういえば正妻という言葉はあるが正夫はないんだな。でもとにかく法的に正規の夫が、人の邪悪な部分を大いに刺激してくれる傑出した人物。罪人となった妻は出獄するとあくまで清く正しく規律遵守の生活をするという対比が鮮やか。章立てが説明的な構成なのが読みやすい。古い本で旧字だったのが中身とマッチしていて良かった。満足度とっても高かった。
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jun
at 2016-01-12 20:20
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kienlenさんの三周遅れ位(もっとか?)で、私も何とか図書館から借りてボチボチ読もうかと思案しています。これは私は丁度昨日借りたものですが、見た目の大作に圧倒されています。たしか、「ひもんじ」と読むのかと調べてから早や一ヵ月。小説の蟻地獄に嵌まるものかどうかとおののきながら冒険旅行の準備をしている私です。「いねむり先生」は大型版で平行読み。有名な逸話の数々の裏取りな感じ。当時行ってみたかった所の追体験も楽しいです。
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kienlen at 2016-01-13 22:07
junさん、慣れると取り付かれますよ。そこまで一頑張り。
by kienlen
| 2016-01-12 18:13
| 読み物類
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Comments(2)