『ピスタチオ』

梨木香歩ファンの友だちから借りた長編小説。色々な要素が入っていて符合が幾重にもなっている感じでいちいち読み解こうとすると自分には手におえなさそうで途中で嫌になりそうで、あまり考えずに読むことにした。主人公は、親が経営するマンションの部屋に住むライターの女性。出産適齢期を過ぎたくらいの年齢か。婚姻届けは出してない大学勤務の彼がいて行ったり来たり。そういう自分への直接的内省とか心理描写は重要視されていないようだ。その代わりというか、外の存在に色々と投影されているようだ。まず、飼い犬の病気。これが結構詳細で、これだけで犬を飼っている人なら感動的な物語なのかもしれないが、私はそこまでいけなかった。

この犬の病気が、どうやらアフリカの民話とか民間信仰とかの核心部分の象徴というか符合となっているようだ。それが何かというと、説明しがたい。つまり主人公は取材でアフリカのウガンダに行くのだが、そこでの体験はアフリカの民族問題とか内戦とか地球温暖化とかアクチュアルな問題と民話とか信仰とか人間性とか自然環境とかがまぜまぜになったシュールかつ、でも実際こうなんだろうなと感じさせるもの。技巧的で高度な物語なんだと思うが、入り込めるかというと、そうではなかった。どうしてだろうかと考えて、著者が言いたいことは分かる気がするし同感するんだけど、ギシギシと踏みしめながら創り上げるような密度の感じられないのが物足りなさになっているように思う。アフリカにちょっとでも行ったことがあるとまた違うかもしれないが。人間を内に内にきつく巻くような物語が自分は好きなのかもしれない。それはそれで悲しいような…。

by kienlen | 2016-01-03 15:14 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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