『砂の女』

安部公房は大好きな作家だった、という記憶だけはある。昔買った単行本が何冊かあり、娘が読んで良い良いと興奮していた。読み直したいと思っていたが積んである本だらけで余裕がない。と、読書会の課題に上がっていたのでこれはラッキーと思い、娘が前回戻る時に持参させ、今日読んだ。ちなみに今回の持ち帰り品としては村上春樹の『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』を頼んであるので、彼女はその前に読まないとと焦っていた。というわけで砂の女、何十年ぶりかの再読。そしてもうあまりの素晴らしさに涙がじわじわだった。すごいすごいすごい!幻想的なのに生々しいほどにリアルで、科学的で論理的で飛躍がないので情景がすっきり入ってくる。

そして人間って何で、人間社会って何で、生きるって何なのか、一行一行にしびれまくりでした。電線でつながっているような、という比喩があったけど、まさにそんな感じ。ビリビリビリ。ゆっくり読もうと思っていたのに、吸引力のあまりの強さにゆっくりどころではなくて横たわったり姿勢を正したりしながら最後まで。最後がどうなるのかの憶えもなかったが、なるほどこれだったか。地面というか砂面というかに、足のついた内容。まあ、砂面に足のつくのがどういうことかって、これを読めば分かるけど。新春読書は大変満足だった。

by kienlen | 2016-01-01 18:04 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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