『老人と海』

ヘミングウェイの小説を初めて読んだ。とてもよく言及される作家で、となると読まずに間違ったイメージが膨らむことになりがちで、男の闘争心むき出しみたいな思い込みがあって読んでみる気にならなかった。今回は読書会の課題だったので。そして、こんなに面白いなんて、驚き、深く感動。では若い時に読めばよかったかというと、それは分からない。読書もご縁、何事もご縁ですから。出だしから引き込まれて、どこもだれるところなく最後まで。ここまで緊張感を保てて疲れないってすごいな。最初に老人と子どもとの信頼関係がいかに愛情に満ちた強いものであるかを描写してから、老人が海に出る場面、そしてクライマックスへという流れ。

魚釣りを趣味にする人はかなり多いことは、知り合いに何人も本気の人がいるので想像がつく。何が面白いんですかと一所懸命尋ねたこともある。魚と自分の真剣勝負みたいなもんなのかと思った。どうも自分は勝負事に関心が薄く、それは勝てないことからの逃げなのか負けるのが絶対嫌という実は大変な勝気の裏返しなのか、今となってはもう分からないけど、勝負というだけで引けるところがあり、その先の何かまでたどり着くことができなかった。この本を読んで、なるほどと思った。命への畏敬の念に感動。でも小魚に対してはないらしい。強さは必要なのだ。命がけで採った大物の運命がこれとは。皮相的な意味じゃない強靭なひねりって感じ。素晴らしい小説で満足。



by kienlen | 2015-12-28 10:43 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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