『八月の光』

読書会の課題としてしばらく前に読んだ。あまり時間のない時期だったこともあり、これは挫折して参加を見送ろうといったんは決めたのだが、それもなんだか悔しい感じがあり少し読み進めたら面白くて止めるわけにいかなくなった。時系列が入り組んでいるので結構分かりにくく、登場人物も、これはあの人と同一人物だろうかとか変に勘ぐったりなどして時間はかかった。南北戦争の傷痕が色濃い時代のアメリカ南部の様子は、頭の中の映像的には風と共に去りぬに引きずられ気味だった。親に捨てられて施設で育った男性が主人公のひとり。養子として引き取られた家で、今風に言うと虐待されて育つ。そういう環境で育つとどうなるという典型例としても極めて現代的だった。ストーリーは、そういうシンプルなものではないが、規範意識に縛られた抑圧的環境に育つことの弊害の大きさを日ごろ感じているので、その点が心に残った。

本は図書館で借りた。まず家で検索して貸出可能であることを調べた。それから図書館に行って、あの使いにくい検索機で場所を確認して現場へ。どうしても見つからないので職員に経緯を伝えた。あるべき棚を長時間探した挙句、誰かが借りようとして持っているのではないか、と、まあ、あり得なくはないが、にわかに信じがたい主観を語ってくれた。らちがあかないので諦めてその日は帰った。後日また見に行ったらやはりない。別の職員に相談したら、あっさり「フォークナーは専用の棚があるんです」と言って、奥から持ってきた。「さんざん探したんですけど」と言うと「職員に聞いて下さい」だって。聞いたんですが、と言うのは面倒だった。長野市の図書館への力の入れなさ加減は利用頻度の低くない者としては充分想像がつくから。市民がこうだから質も向上しないという意味では共犯かもしれないけど。図書館に限らないが、職務上自分で分からないことをどうして同僚に聞かないんだろうか。そういう場面に遭遇することが多いのがすごく不思議。日本人ってチームワークじゃなくなったんだな。じゃあ、何をとり得にするんだろうか。

Commented by jun at 2015-12-06 06:52 x
声は出なくても、文章は変わらずクリアーですね。
でも、声は少しは良くなってハスキーヴォイス位にはなりましたか?
チームが弱くなった分、役所などは上司にお伺いを立てずに職務で教えてくれることも多くなった気がします。
規範意識の強い抑圧的環境、それも善意の押し付けなど、良くないなあ。私もそれに近いものに苦しめられて育った気がしています。もちろん同時にその中でも自由を感じたり、おおらかな多様さを認める人の中でも育ちましたが。
Commented by kienlen at 2015-12-06 09:38
junさん、昨日から何とか短い意志疎通くらいはできるようになりました。今日はさらに前進中。声帯がなくなってしまったかと思った一時期に比べたら充分と感じます。あ、お酒美味しかったです。
by kienlen | 2015-12-05 21:54 | 読み物類 | Comments(2)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


by kienlen
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