『宴のあと』

あまりの空腹に途中で起きて食事を作って食べた以外、昨日は1日中寝ていた。具合が悪かったせいなのか、寝ていられる状況だったからなのか、分からない。こういう時でも仕事があったら多分やってしまうのだと思う。ただ、今朝の方が昨日よりいいことは確かなので、やはり具合は悪かったのだ。おかげで三島由紀夫の宴のあとを読むことができた。読書会の課題で、家にあったはずだし、それほどの長編でもないしと思って安心していたらどうしても見つからず、寝込む前日に図書館で借りてきてあった。10代ころ大好きだったということを覚えてはいるが、かといって内容までは覚えていない三島由紀夫は読み返したいと思っていた作家のひとり。で、こういう場合って、歳とってから読んでみて面白みを感じられなかったらどうしようという不安みたいなものがある。昔の自分への疑いを感じるというのは、嬉しいものではなさそう。でももちろんそんなことはなくて、すごーく面白かった。

モデルのある小説ということではあるが、保守政治家お気に入りの高級料亭の女将が革新党の政治家と結婚するという設定からして最高。しかもこの革新政治家が都知事選に出馬。火のように情熱的な女将は自分の金をつぎ込んで選挙にのめり込む。懇意の保守政治家からのいかにも政治的な中傷とか、選挙のめちゃめちゃぶりもリアルで、大衆小説のような面白さがあり、でも登場人物の心の動きは幾重にもひねりを効かせた説明で美しい。どの人もそれぞれの意味でたくましく、最後も、こうでなくちゃね、な終わり方。もっとも、男が妻のやりたいことを受け入れてやっていけるようだったらもっとスケールが大きくなるだろうけど。主人公の女将のような人物が今の時代にいたら面白いが、時代の寵児という感じ。選挙は政策や論理じゃなくて金と感情に訴えるんだというはっきりした考えが、革新党の清貧な迷走ぶりと対照的。これは若い時よりも歳してからの方が楽しめる小説と思う。大変好みだった。

Commented by jun at 2015-12-01 15:54 x
回復力が凄いですね!
私は宴は早く帰る方ですが、あまり無理されませんよう。
Commented by kienlen at 2015-12-02 10:47
junさん、まだ回復してないんですよね。今日中に回復しないと困るんでがんばります。
by kienlen | 2015-12-01 10:25 | 読み物類 | Comments(2)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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