『資本主義の終焉と歴史の危機』

読んだ本のメモと思って書いているのにこのところさっぱりアップできていない。これもしばらく前に読んだもの。再読なのか初読なのかやはり分からなくなっている。佐藤優の本にいつもついている読書案内に入っていたもので、そういえばあったなと思って本棚から引っぱりだして開いてみたら読みやすく怖い内容だった。集英社新書、水野和夫著。何が怖いかというと、政府の方針が、著者の分析や提案に逆行していて、自分が著者の分析の方に納得ができてしまうから。逆の考えの持主だったら、つまり経済成長信仰の方々だったら…、まあ読まないか…。タイトルが示す通り、資本主義の最終局面に立っているので、せめてソフトランディングを、との主張が述べられている。

歴史から現状を分析しているのでどこも面白いが、ヨーロッパの歴史が「蒐集」の歴史であるというところは特に。『蒐集』という本からの紹介だが、ヨーロッパ初の蒐集がノアの方舟で、中世キリスト教は魂を「蒐集」し、近代資本主義はモノを「蒐集」し、この概念がヨーロッパ精神を形作ってきた、という説なのだそうだ。あの美術館とか博物館なんかを思い浮かべ、なるほどーと思ってしまった。で、マネーを蒐集したりと蒐集は続くわけだが、ギリシャ危機でドイツが見捨てなかったのも、この帝国の蒐集という運動を停止させないためなのだろうという分析。で、この本は2014年の発行なのでシリア難民はないけど、じゃあこれも蒐集なのかと勝手に思ったり…。専門的な所論を一般向けに紹介してくれる新書ってありがたい。資本主義が必要とする我々含む周辺を食いつぶしていく様が見える内容は恐ろしいけど。

by kienlen | 2015-10-13 18:00 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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