『居酒屋』

なぜだか著者名ゾラとタイトルだけは知っている本を初めて読んだ。読書会の課題図書になっていたのがきっかけ。いったんは図書館で借りて、旅先読書でちょうど良さそうだと思い、娘の社割で文庫購入を頼んだ。受け取りは、ヨーロッパへの出発前夜にしていた。ちょうど娘がヨーロッパから戻った当日。同じく彼女も旅先に持参していて、もうちょっとで終わると夜中まで読んでいたのを朝に受け取り、機内持ち込み用のバッグに入れた。連れは『罪と罰』を持参すると言うので「それは読んだから別のにして、読み終えたら交換しよう」と提案したが拒否された。そのため、一応他にも2冊持参。結果的には読み切れなかったけど。フランスまで2往復したことになり、文庫本の表紙はボロボロになってしまった。

洗濯女が主人公。ストラスブールで運河クルーズをした時、ちょうど洗濯女についての説明があった。上流階級の人の洗濯女は上流で洗濯し、何か流れてしまうと下流で洗濯している下流階級の洗濯女が拾い、それを届けることでいい報酬を得ていたとのことだった。この小説の洗濯女は、田舎から出てきた働き者で、その勤勉さで一時期は自分の店を構えて人を雇うまでになる。ところが最後は街角に立って身体を売るまでに転落する人生を詳細に描いたもの。フランスは帝政と共和制が交替していた時期があり、この小説の舞台は第二帝政時代。あのパリの古い街並みが、この時代の都市計画によったもので、その背景が何だったのかというのはとても興味深かった。とはいえ、そういう時代背景よりは男の問題の方が大きい話。いや、どっちが先かは難しいか。とても面白かった。娘にそう言うとちょっと間があって『車輪の下』の方がいいと言っていた。それはお幸せなことだろうと思う。

by kienlen | 2015-09-18 22:04 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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