涙するまで、生きる

ノーチェックだった映画。たまたま何かでアルジェリアが舞台でカミュの小説が原作と知り、俄然興味がわいて突然今日見に行った。予備知識はいつものように何もなし。荒涼とした岩山のシルエットと、それの背景で幻想的に色を変える広大な空が最初のシーン。きれいさと不気味さがスクリーンを埋め尽くす。明るく楽しい映画なわけがない。どうしてこういうのばかりに来るんだ、と多少の後悔。いきなり戦闘シーンとか嫌だ、など。すると学校のシーンになってちょっとホッとしたのだが、すぐにとんでもないことになった。主人公の学校教師の所に、殺人を犯した罪人を憲兵が連れてくる。こいつを裁判にかけるため、別の町に連れて行くようにとのことだった。教師は断るが、憲兵は去る。

教師はアルジェリアの宗主国のフランス人らしい。嫌々ながらも罪人に食事を与える。フランス人は十字を切って食事。招かれざる客人はイスラム教徒。結局この2人が指定された町に行く道中の1日を描いただけのものなのだけど、危機続きで、もうハラハラし通し。ものすごい不条理にも遭遇する。この道中、2人は生い立ちなんかを話すことになり、なるほど、だからこうなのかという謎が解けてくる。教師なのにどうして銃の扱いが巧いんだという疑問は最初からあったが、その謎も解ける。罪人の村の掟は江戸時代の武士の掟のようだった。フランス人かと思ったら実は…という主人公の境遇も最後の方で明らかになり納得。アルジェリアが舞台の映画なんて初めて見た。1954年のフランスからの独立を求めた悲惨なゲリラ戦の最中の1日の出来事。深い。冒頭、一体どんな展開になるか怖さのあまり娘にメールしたら「見たかったのに時間なかった」ということだった。いやはや、ものすごく良かった。深く感動。初めてパンフレットまで買ってしまった。素晴らしい。今週でおしまいなのでお急ぎ下さい。

by kienlen | 2015-08-04 21:44 | 映画類 | Comments(0)

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