『うらおもて人生録』

色川武大のエッセイ。いやあ、面白かった。エッセイってあんまり読まないけど、素晴らしい。一応なのか本気なのか、若い人向けに語りかけるというスタイルになっている。著者は50代当時のようだ。しかし若者をとうの昔に過ぎた者が読んだらもっともっと味わい深い。すっごくよく分かると感じる内容。本の良さって何といってもこれだな。一瞬孤独感が薄らぐもの。本など全く読まない息子が阿佐田哲也は麻雀の関係で少し読んだと聞いたような気がする。いいセンスですね。書いてあることは、当たり前というかしごくまっとうなことばかり。これを抽象論だったり説教調で書かれたら絶対うんざりだが、博打打ちの経験と視点に徹しているおかげでとっても面白くなっていて嫌味がない。

勝ち負け論は単純化すると腹が立つが、ここで述べている勝ち負けには心底納得。子どもらに口癖のように言ってきている言葉があるが、それがそのまんまでてくる。わーい、子育て成功と喜びたいが、そういう著者は子どもを持たなかったのだった…。面白かったからこの著者のをさらに読みたいかというと、そういうのとも違う。これひとつで充分満足って感じだ。大事なことはすべて語っていただいている。私は博打は全然やらないが、周囲はそういう傾向ありの人が結構いるので親近感はあり。プロとアマの違いの描き方が切羽詰っていて面白かった。プロといえば思い出すのは森巣博くらいだな。そうそう、若い頃に勤めていた会社の社長が博打で生きていたっけ。あれはプロに近かったんだろうか。会社やっていたらプロじゃないか。でも博打の間は出社しなかったけど。
by kienlen | 2015-06-20 08:56 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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