雑談の中ででてきた隈研吾

友人の建築士と、ちょっとした打ち合わせを兼ねて食事した。ありふれたものではなくて、自分の考え方がよく伝わる経歴書を書いてくれというご注文。長い付き合いなので考え方というのはだいたい分かっているから、ほとんどは雑談。すると彼が、隈研吾がいいと言った。この人は私も面白いなあと思っていた建築家。何年か前に上野千鶴子の建築家達との対談集『家族をいれるハコ』を読んでいたら、隈研吾が群を抜いて面白くて、興味をもって文庫の『10宅論』というのを読んだら、これがまた面白い。面白いばかり繰り返して芸がないが、面白い、というのは自分にとっては最も重要な概念だから、最高の褒め言葉。日本人の住宅を10種類に分類して、そこに住む10種類の人々と共に解説、批評している。「清里ペンション派」とか「カフェバー派」とか、分類用語が古いのはオリジナル版の発行が86年だからで、バブリーな頃が思い出される。

で、自分はどこに分類されるかを考えるのが楽しい。居住者プロフィール表の一番目の項目が「イデオロギー」である。「ロマンチシズム」とか「即物主義」は当たらないような気がする。「反ブルジョア的ディレッタンティズム」は、案外近いかも。本文を参照するといきなり「建築家に自分の家の設計を頼む人」とある。当たっている。が、残念なことに理由は違う。ここでは作風ではなく「ブランドとして」というのがポイントになっているが、私の場合は自分の要望をちゃんと形にして欲しいからで、名前などどうでもいいし作家よりは職人的建築家を選びたい。となるとイデオロギーは「合理的」になるのかな、となるとハビタ派である。となると、居住形態は中古の分譲マンションを購入して改装かあ、違うなあ…、壁の仕上げがビニールクロスはあんまりだ…。というわけで、ぴったりするところはないのだが専門家でなくても読める建築論としては傑作。周囲を見渡すと「住宅展示場派」が多いように感じる。イデオロギーは折衷主義、集団を規定するメディアが婦人雑誌のインテリア記事とおもてなし記事。なるほど、ありそう。この人には21世紀版の10宅論をぜひ著してもらいたい。
Commented by にゃにゃ at 2006-06-04 19:42 x
ブログ読ませてもらいました♪
by kienlen | 2006-06-04 19:41 | 読み物類 | Comments(1)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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