『ペテン師と天才―佐村河内事件の全貌』

佐村河内さんという人も新垣さんという人もみっくんという子も全然知らなかった。NHKスペシャルも見てないし、こんなに有名だったんだということを、この本で知った。途中で止められなくて仕事には悪影響を与えたと思う。しかし、ノンフィクションを読んでいるといつも思うのだが、ここまで時間と経費とエネルギー注いで、本は売れないしで、これからどうなるんだろうか。で、ノンフィクションがなくなったらとってもまずいことになると思うのでせいぜい買っていきたいとは思うが、微力にも届かない。出だしが良くて、あと佐村河内、新垣両氏のメールのやり取りでかなり分かるって感じ。なるほど、こういうことね、というのが単純な感想。テレビでの取り上げ方を全く知らないという前提で。ゴーストライターについては、一般的にどういう位置づけなんだろう。著者はゴーストでたくさん本を書いている人なのでその辺への言及はもちろんある。その際の態度も表明している。新垣氏がこんなに若くなければ違っていただろうな。という意味では人生って出会いのタイミングであることがよく見える。

著者も書いているけど、事件の全貌とはいいながら、それには遠いものではある。というのは、どうしてこういう人格ができたかがやはり興味あるが、そこはまだ今後の課題ということだ。映像メディアが完全に行きわたった時代に育った世代、その次世代が世の中の中枢になっているということは、前世代とは相当に違った様相になっているんだろうな。生きていることそのものが劇場的というか。それを突いてここまでのことができるってスゴイ。と思いつつ、世の中ってこういう風に動いているんだろうなという虚しさも感じてしまう。一番分からなかったのは、手話通訳が介在したようだけど、彼は手話を習得していたってことなんだろうか。知りたい。あるいは私の読み落としか。タイトル通りのひじょうに分かりやすい構図の上に、さらに人間関係の構図を描きながら説明しているのは分かりやすいような、それに縛られてしまうような。佐村河内という人、こういうことに使う力を他に活かしたらいいのに、どこかで大きな傷を負っているんだろうか。みっくん父母がもし少しでもぶれるような人達だったらどうなっていたか、というのが一番ハラハラした。親って大事だ。

Commented by jun at 2015-02-21 07:07 x
お早うさんです。ノンフィクションで書けないから小説にする場合も多くある気がします。
今、テレビドラマで「ゴーストライター」が面白くて見ていますが、ある意味この事件が後押しして出来たドラマだと感じました。サブタイトルのようなものが「出版会のタブーに挑んで」的なものでした。だから、もうタブーではないということでしょうか。
背後の人間関係は、おっしゃる通りこれからかもしれません。ドラマでは、大作家の息子との関係も主題として描かれています。
いつもタイムリーな問題提起をいただき有り難く思っています。
Commented by kienlen at 2015-02-21 19:13
映画のゴーストライターも面白かったですよ。出版のゴーストライターがタブーとは知らなかった。この一件、単にゴーストライターを使っていたというだけじゃくて、NHKの番組はじめマスコミも関係していたことが騒ぎの大きさに関係しているんじゃないでしょうか。といっても、どのくらいの騒ぎなのか、テレビ等見てなくて自分は分かっていないんですが。ちょっと内輪話的な感じはありました。
by kienlen | 2015-02-18 10:23 | 読み物類 | Comments(2)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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