『私は親に殺された!』

書店でたまたま見つけて、これは読みたいと思って買った。サブタイトルは、東大卒女性医師の告白。なぜ読みたいと思ったのかというと、虐待の当事者がひじょうに率直に高度な言語力で極めて論理的に、かつ分かりやすく書いているから。しかも精神病院への入院歴8回、自殺未遂30回とか、すさまじい内容だ。あまりの記憶力にもびっくりするけど、そして多分この内容については読む人によって感じ方は大きく異なると思うが、説明が克明で筋が通っていて説得力がある、こんな貴重な本はなかなかないだろうと私は思ったし、泣けた。父母から抑圧的に育てられて境界性人格障害になったという著者が、幼年期から50代後半となる現在までのうつなど精神の病、仕事、日常、地獄のような日々を詳細に綴ったもの。親子関係はもちろんだけど、精神科の医師とのやり取りもとても興味深い。精神病院の話など映画の場面そのまんま、本当に怖い。それと、薬の依存についても大きなテーマ。強靭な意志で止めることができたからこそ書けた本だろう。著者自身が医師なので薬についてもとっても分かりやすい。

親子関係で葛藤がそんなになかった人にとっては、何コレって世界かもしれない。親ばっかりとことん責めるだけで、自分の反省はないんじゃないかとか、思う人もいるだろうなとは思う。自分はそうは思わない。ということは、つまり親になっている今は、子どもから恨まれる覚悟もしなくちゃいけないとは思ってはいる。そうならなかったらラッキーだが、もちろん分からない。自分のことはともかく、この本でゾクゾクした場面がある。薬依存でのあまりの苦しさから、腕に針を刺す自傷行為をするようになった場面。母が亡くなった時、検視した警察から「腕に尖ったもので刺した跡がある」と言われた。鉛筆のようなものかもしれないと。よくためらい傷という言い方を聞くので単純にそれかな、と思っていたが、しかし鉛筆刺して死ねないよなとひっかかりはあったが、この本を読んで、すごくハッとした。もしこういう状況だったとしたら…。やはり父に聞いてみたいことはある。思い切って聞いてみるか、という気になった。ここまで書くって、失うものの大きさと天秤にかけるような了見の狭さではとうていできないんじゃないだろうか。表現する力のある人がやるのは社会貢献というか、人の命を救うことだと思う。色々な意味ですさまじまった。

by kienlen | 2015-02-14 18:28 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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