『ようこそ、わが家へ』

池井戸本。久々だろうか。面白かった。取引先の中小企業に出向中の銀行マンという主人公は、気弱で〝池井戸作品史上最弱の主人公〟といううたい文句になっているが、小説のヒーローというイメージでなく見れば充分勇敢に感じられるタイプだった。ともかくそういう設定の主人公がふとした、ごく正当な行為にでたことで執拗ないやがらせを受けるようになる、という、すっごくありそうな話が怖い。これはエスカレートして家族に被害者がでるんじゃないかというゾクゾク感。これがひとつの筋で、別口で出向先での問題に立ち向かうというか立ち向かいきれないというかの問題が別のもうひとつの筋。

それともうひとつの筋が途中から見えるようになっている。全部の筋の中心になっているのは、主人公の家庭。ディテールがとっても良かった。特に警察の対応。犯罪という視点からみると軽微で、本気で動いてくれることを期待できない。しかし当事者にしてみたらものすごく深刻。さて、どうする、というあたりが。家族に意見の不一致がなくて協力しあえて、基本ほころびがなくて、でもさすがに完璧というわけはないから少し隙間が見えるみたいな感じもほどほどで安心感とスリルが微妙に調和していた。しかしこういう本を買っていてもキリがながいので昨日図書館に行ったついでに別のを借りて来た。

by kienlen | 2015-01-08 09:04 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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