『「生存者」と呼ばれる子どもたち―児童虐待を生き抜いて』

必要があって図書館に行き、さっさと帰らないとなと思っていたのに長引き、目的の本は館内で目を通して目的外の本を少し借りて来た。購入だと吟味するが図書館の本ならそこまでしない。そんな感じで期待しないで借りたのだが、これはアタリだった。ものすごく読みやすくて時間がかからないが、かといって内容が薄いわけじゃなくて、やはり現場の人が書くというのはこねくり回さなくてもいいのでいいなと感じた、というのはともかく、私はこの本で初めて情緒障害児短期療養施設という分野を知った。常々やるせないなと思っていたのは、児童養護施設に適応できない子はどうしたらいいんだろうということだったから、こんなカテゴリーがあるんだということにほっとして、しかしその数はものすごく少なくて、しかもつくるのも維持するのも並大抵じゃあないというのもここに経緯があって、いろんな意味で感動した。

虐待の関連の本はルポをいくつか読んだが、このようなタイプのは初めて読んだ。つまり著者が精神科医で思春期の専門で、病院の医師をしながら児短も担当していて、とにかくがちがち現場の人。虐待の何たるかの説明も納得のいくもので、虐待をなくしたいという強い意志と優しさの感じられるものだった。自分は子ども好きという性格でもないが、やはり子どもが被害者になるのは何よりも嫌だし、子どものころの環境が大人になってからに強く影響しているということをここんとこ確信しているので、どうしても興味を持たずにはいられない。それにしても、タイで虐待を受けた子どもたちと職員が一緒に暮らす村のことをよく思い出す。あの頃、今よりも何も知らなかった。ただ「虐待された年月の倍は治療にかかる」と言われたのはよく覚えていて、ここにも同じことが書かれていた。仮に10歳までとしても30歳までが治療期間ということになる。人口減少ばかり言われるけど、今生きている子を社会人になれるよう育てるのは大切じゃないかと思うんだけど。とてもいい本だった。

by kienlen | 2014-12-29 08:40 | 読み物類 | Comments(0)

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