山本慈昭 望郷の鐘~満蒙開拓団の落日

久しぶりに試写会にて。結構人数が多いのにちょっと驚いた。今さら言うまでもないが本県は満蒙開拓団を日本一多く送り出した県だ。さて、どういう風な映画にするのかという点で興味があった。原作を読んでないので、子どもを殺さざるを得ない状況、自殺に追い込まれる、団員同士の葛藤、地獄の苦しみの場面が登場するのだろうか、それらを直視できるだろうか、残酷過ぎる、等々考えていた。で、結果からいうと、そこは比較的あっさりにしてあって目を背けずに見ることができる。山本慈昭さんという教師であり僧侶である人が家族を連れて満蒙開拓団に加わらざるを得なくなり2人の娘を伴って行ったのが、終戦のわずか3か月前。満蒙開拓は国策で進められたものなので、この時点で一般国民を捨てているということはひじょうによく分かる。

始まりがあまりにベタなので、うーん、どうなるんだろうと不安だったが、満州に渡ってから入り込める感じになった。予算がないだろうこと、いかに一般に広く見てもらえるかを主眼にしていることが伝わってきた。主人公の山本さんは奇跡的に生還するのだが、シベリア抑留を経て2年後に戻った家に妻もふたりの娘もいなかった。留守を守っていた母と抱き合って泣く場面で泣かない人はいないんじゃないだろうか。それから彼は亡くなった人―といってもつまりほとんど全滅に近いわけだが―の名簿つくり、生還者の聞き取りに取り組むうちに、中国人に育てられた子どもたちがかなりいることを知る。そして…、という展開。満蒙開拓が何だったのか、皆が皆知っているわけでもないと思うので、多くの人が見てくれることを願いたい。国が国民を騙すこと、しかし騙される相手がいなければ騙すことはできないのだという明瞭なメッセージ。だいぶエキストラがいるのでしょうか。それにより、役者ってすごいなということを改めて感じた。残しておくべきもの。

by kienlen | 2014-11-15 08:46 | 映画類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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