『浮浪児1945-戦争が生んだ子供たち』

ゆっくり読むしかないなと思って読み始めたが、あまりの面白さに一気読み。重厚な内容かと勝手に思っていたので何冊か注文した中で手をつけるのが遅くなっていたのだが予想外に読みやすかった。書き方も構成もすんなり。昔、男友だちと夜行列車で上野駅に早朝着いたことがある。あれは何だったんだろう。遊びに行ったのか、彼が東京にいたのだったか、よく覚えてないが、とにかくふたりで上野駅にいたら知らないおじさんから「どこがいいの?大阪?」と声をかけられた。家出少年少女と思われたことは分かったが、その時は家出のつもりもなかったのでついていかなかった。ただ、こうしてネットワークがあるんだなということは感じたし、時代を考えると、戦後の混乱期の名残があってしかりなのだ。

この本の舞台は主に、その上野駅。東京大空襲の悲惨な場面から始まり、そこで家族を亡くして身寄りのなくなった子供達が、少なくとも寒さをしのげる上野駅の地下道に集まるようになる過程、生きるためにどうしたか、死んでいった子達はどうだったのか、施設に行く場合はどうか、などを当時の体験を記した資料とすでに高齢化した当事者たちへの取材から読みやすく構成してある。当然著者の考察が筋として通っているが、生きることについての見方に違和感なし。パンパン、闇市の商人との交流、それに食べ物を探しに地方の農村や漁村に行く様子など臨場感たっぷり。後半は当時ボランティアで施設をやっていた人の娘さんからの聞き取りがあり、これも感動的だったし、今児童養護施設に入所する子達との比較にも納得。そして気になる元浮浪児の今も出てくる。もうちょい突っ込むか、ここまでにしておくかみたいなタイミングがほど良くとても読みやすく価値ある本と思った。軽く読めるが充実感はたっぷり。

Commented by jun at 2014-11-05 06:42 x
時代を再考察するようないい本ですね。上野駅というのは年配者には感慨があるとよく聞きます。私も年少の頃、汽車で碓井峠を越えました。綺麗になった上野駅、でもまだ構内には当日の古さも残されていて、また鶯谷改札付近には、最近までホームレスが沢山いました。
私には妹がいるので、火垂るの墓のラストの情景とダブり、いつでも泣ける記憶です。
Commented by kienlen at 2014-11-05 08:39
junさん、おはようございます。今聞いておかなければ間に合わなかっただろうなという話がたくさん出てきます。上野駅には当時の名残が相当あるということも書いてありました。新幹線になる前は身近な駅だったのに、通り過ぎるか手前で降りるかになってしまいました。
by kienlen | 2014-11-04 09:40 | 読み物類 | Comments(2)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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