『いつか、この世界で起こっていたこと』

この間読んだ黒川創が気になっていたところ、図書館で見付けたので読んでみた。文芸誌に載せた短編を6篇収録。最初のが「うらん亭」というタイトルで、おかしなタイトルだなと思ったのだが、これが懐かしい時代の空気感いっぱいで、面白いなあと思って読んで次がストレートに津波をテーマにしていて、次が…と読んでいくと、全体には核なのだということが分かり、それで最初のうらん亭も、ふむと感じた次第。若い頃に読んだノサックとか、そういうタッチを思い出した。ぼんやりとしか覚えてないけど、饒舌なひとり言のがあったような気がする。で、それが好きだった気がする。運び方が自分にとって違和感なし。どこで場面が展開するかとか、そういう生理的なタイミングについて。

「チェーホフの学校」というのがあった。若い頃にチエーホフが好きな友だちがいて、今も本棚に何冊もある。覚えてないけど、何が面白いのか分からなかったような記憶はある。でも若い時にそれってなかなか言えないものだ。で、どう言ったのだろうか、友だちには。で、どの小説も、このように誰でも知っている過去の人物が登場して、プレスリーも出てくる、それと今とを行き来するのだが、この重なり方がシュールな感じ。それをつないでいるのが核というのが、またシュールといえずにリアルなのが恐ろしいのだが。内に内にと向かったり人間の関係性にしつこいタイプのものは苦手だが、グローバルでいて内向的なところがいいのかもしれない。面白かった。時代性も大きいと感じるが、どうなんだろうか。文学滅びて核が残る、というイメージがぐるぐるしている。

by kienlen | 2014-11-01 13:39 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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