『暗殺者たち』

単行本は汚したくないので持ち歩きできず寝る前読書のみ。黒川創著。何かの紹介で見て注文したものだが、ノンフィクションだと思っていた。読み始めもそう思っていたので、ある作家がロシアの大学で「ドストエフスキーと大逆事件」について講義するという出だしは、単なる導入かと思って読み始めたら面白くて、しかしいつ導入部分が終わるのかと思っていたらずっとこの形式で最後まで。読み終えてから帯などを見たら小説と書いてあった。つまり小説だったのだ。ひじょうに好みの内容で、このシュールでユーモアを感じるタッチも実に好みだった。面白かった。

舞台は20世紀初頭で、登場人物は夏目漱石、伊藤博文を暗殺した安重根、幸徳秋水、管野須賀子、荒畑寒村、それと大逆事件に連座したということで処刑された人たちなどなど。そうか、これが同時代だったのだと、縦割りのしかも細切れでしかも漠然と知ったようなつもりになっていたのが横にもつながって、それに講義形式なので話し言葉で書いているから分かりやすかった。どの人物も、なるほどこういう人だったのかと感じられる人間描写で、こういうところは小説の醍醐味だなという感じ。夏目漱石が満州を見聞して書いたという記事が資料として掲載されていて、そもそもここから話は始まり漱石が主人公なのだが、高校の頃にしか読んでないから何も知らない漱石を読んでみたくなった。読まされた感があったな『心』も『それから』も。ここではこのふたつがキー。こうしてみるととても興味深い。今日は電車の中で松本清張を我慢して仕事の予習ができるかどうかだな。

by kienlen | 2014-10-09 09:46 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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