ナイロビの蜂を観に行った

『ナイロビの蜂』という映画を観た。それもわざわざ80km以上も離れた村のシネコンまで行って。公共交通機関がないので車しかない。遠方すぎる、でも観たい、で迷っていたのだが、ちょっとした仕事が予定外に早く片付きそうだった上、そちら方面に勤務する友人が「高速代を払うから乗せていって」と言うので、その話に乗ることにして急遽行く。高速を使うと楽だが、高すぎて映画1本のためにえらい出費になってしまうから助かった。ジョン・ル・カレの原作ということなので静謐な雰囲気を想像した。キャッチフレーズは「地の果てで、やっと君にかえる」。情報がこれだけだったら絶対行かない自信があるが、どこかでストーリーを知って興味をもっていたものだ。ケニアに赴任したイギリスの外交官の妻が殺されるところから物語は始まる。死後に妻の謎を夫が追ううちに、さまざまな事が暴露されるというしくみ。製薬会社と政治の癒着だけでなく支援組織もその一端であったり、アフリカが人体実験の場所として使われていることとか。

宣伝文句では恋愛物を前面に出しているし、いきなりベッドシーンがでてくるなど、なんだかとってつけたような場面に違和感を覚えたが、でも、全体的には、遠方まででかけて損したとは思わなかった。当たり前といえばそうだが、結果的に可視化される事象の背景が、誰か特定のものの意図の元に予定通りに起こっているわけではないということを、感じさせてくれる映画だった。原因があって結果があるというのは、例えば犯罪の立証の基本で、報道でも必ず「動機を追及中」となるのもその流れだと思うが、これは疑う必要がある。そんなに単純に動いているわけではないのだから。カポーティーの『冷血』では、結果的に殺人事件になる過程を、単なる因果関係では理解できないことを描いていたが、今日の映画もそれを思い出した。細部ではあるが、そういうセリフがあった。アフリカの現実を私は知らなさすぎるので、ここに描かれているケニアがどういうものか判断できない。ただ『ロード・オブ・ウオー』で描かれていたのと似ていたから、とても悲しいがリアルなのだろう。やるせない。これを知ってどうなるのかと思うが、知らないよりは世界の見方が多面的になるとは思った。
by kienlen | 2006-05-26 23:57 | 映画類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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