北朝鮮強制収容所に生まれて

日曜日に夫の店にテレビの撮影が入って、店は定休日だったがタイ人が来てビールを飲んで私も付き合って昼間から飲んで、帰っても使いものにならないなと思って映画に行った。見たいのがたくさんあり、これは今週で終わりなのでまずこれを。北朝鮮強制収容所で生まれ育った人のドキュメンタリーという知識のみで行った。見る前にネットで調べたりはしないから。で、そんなに期待してなかった。でも、プロの仕事ってすごいなあと心底思った。役者でもない人物を、そして話すのも耐えられないという状態にある人物を映すことで、何も言わないのにビシビシと伝わってくる。映像ってこれができるもんなあ。人をずっと映すのってヘタすると不快に感じるけど、それは全くなかった。収容所の過酷さもすごくてそれを伝えること自体にも大きな価値はあると思うけど、人を支配する方法としては定石通り。映画では描かれていなかったが、最初から最後までずっと、これだけの体験をしてここまで一応落ち着いてみえるくらいの状態で韓国で暮らすには特別な回復プログラムを経たのだろうか、ということを知りたいと思い続けていた。もっとも回復といっても、収容所で生まれているわけで、回帰の原点も収容所なのだ、ということも分かるようになっている。

で、そのことが気になって帰宅後にネットで検索してみたところ、まさにそれに関する解説があった。やっぱり、気になるよな。制作者は、それに触れるかどうか迷ったのだろうか。で、結論から言って、脱北者専門のセラピストが付いたこともあったが続けなかったということで何もしていないそうだ。何となく、すごく納得がいった。知らない方が幸福であるというのは常識なので、人は色々なことから目を背ける。自分も今かなりその状態に近い。じゃあ生まれた時から自由なんてものを知らなければどうか。愛なんてものも知らなければどうか。知らないのだからあこがれることはないし、迷うこともない。主人公はそういう人だった。拷問で殺されるのと、規則違反をすれば即刻銃殺されるのと、何かにつけて処刑されるということがなければ幸福だったかもしれない。このドキュメンタリーですごかったのは、収容されていて脱出に成功した男性が中心ではあるが、拷問して殺していた側のふたりのインタビューもあったこと。「こう見えても、帽子被ってゲシュタボより怖かったんだぜ」とか言って笑っていた。ドキュメンタリーの力を感じた。ドイツ人監督だそうだ。
by kienlen | 2014-06-03 07:42 | 映画類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


by kienlen
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30