『絞首刑』

今日は理由もなく気分がいいのは、いい本を読んだからだと思う。このところ本を読む時間のない日々が続いている。青木理著。凄惨な殺人事件と死刑の話しなのだから内容で気分が良くなるわけないどころか、この手のものの中でも輪をかけて苦しかった。あまりにひどい事件だから。でもこのようなジャーナリストがいるということが救いで気分が良くなった。殺人事件の犯人たちと被害者遺族と刑務官と弁護士と、という風に、つまり位置は違うが死刑に関係する人たちに取材して、かなり客観的に描いたもの。複数の事件の関係者が登場するが、中心になっているのは3人の少年が連続殺人を犯した1994年の事件で、元少年3人が死刑判決を受けたもの。これほどの事件の記憶がないとは、と思ったら、この頃は日本にいなかったのだった。

犯罪の容態はカポーティ―の『冷血』に似ていると思った。つまり動機なんかない、加害者が複数の場合のその場の相互作用的なエスカレートという見方。で、いつも分からないのは諸外国ではどういう判断をするのだろうかということ。日本だと動機がどうやら大切らしくてニュースだって必ず「動機を調べている」「計画的だったとみて…」と報道される。動機をもって計画的に行うことで罪が重くなるのである限り、その場の空気で何となく、というのは困るのだろう。この方向で事件を見ていく限り肝心なことは見えないなと感じるが、どうなんだろうか。この本でもそこに触れているわけではなかった。ただ、加害者が、やったことは認めるが捜査には不満という時に、このことがかなり関係してくるように感じられてならない。本文は相当抑制的な著者があとがきで感情を出しているのが良かった。がんばって下さい。
by kienlen | 2014-05-29 20:57 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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