ニート論議が成長している
2006年 05月 16日
ちょっとした仕事の件で、知り合いの20代のグラフィック及びウエブデザイナーであり、農家の跡取り息子として週末は農業修行をしているKさんと打ち合わせした時、ニートの話になった。この流行語を何かのきっかけで出したのは彼の方である。ニートの定義をしながら精緻に話すなんて場では、もちろんなくて極めて雑駁。でもせっかくだから、世間知らずの自分への反省の意味もあって「周囲にニートの人っているの?」と尋ねると「仕事ない人も探しているから…いないですね。でも主婦はニートじゃないんですか?あと、花嫁修業とかいって家にいる女の人は?こういう人って結構多かったんでしょ」。私はニートの研究者じゃないのでこんな難問には答えられないが、しかし私達が世代を超えて一致した意見は「できるなら働きたくないって気持ち、誰にでもあるんじゃないか」ってことと「仕事のことになると男に厳しいよね」ってこと。ニート論議って男女平等な取り扱いなんだろうか。
働くって何だ、ということには興味があるので初期のニート関連の本は少しは読んだことがあるが、まだレッテルを貼ってみました段階でこなれていない感じがしていた。もし自分が該当年齢層だったら「うっとうしいな」と感じそうだ。読んでないので想像だが『ニートって言うな!』という本が出るのも然り。でも実はしばらく前に面白いと思うのを見つけた。雑誌『大航海』のニート特集。好きな仲正昌樹が書いていたので買ってみただけだったが、発見がいろいろあった。中でも小倉紀蔵「全能感・無能感・分能感でニートを解く」という一文。自分は何でもできる、という全能感から、自分は全体の中の一部に過ぎない、という分能感への移行=大人になる、という成長モデルに、特に電子メディアの影響から著しい変化が起きていると著者はみていて、ここを出発点にニートを含めて分析しているもの。特集全体が、労働問題だけで捉えるなという視点のようだが、小倉さんのこれもその一環に位置するようだ。自分のようなものから見ると全能感なんて一体どうやって養われるんだ、と思ってしまうが、それじゃあコイズミ現象にしろネット空間にしろ、世の中が見えないのだということが、これを読んで少し分かった。
働くって何だ、ということには興味があるので初期のニート関連の本は少しは読んだことがあるが、まだレッテルを貼ってみました段階でこなれていない感じがしていた。もし自分が該当年齢層だったら「うっとうしいな」と感じそうだ。読んでないので想像だが『ニートって言うな!』という本が出るのも然り。でも実はしばらく前に面白いと思うのを見つけた。雑誌『大航海』のニート特集。好きな仲正昌樹が書いていたので買ってみただけだったが、発見がいろいろあった。中でも小倉紀蔵「全能感・無能感・分能感でニートを解く」という一文。自分は何でもできる、という全能感から、自分は全体の中の一部に過ぎない、という分能感への移行=大人になる、という成長モデルに、特に電子メディアの影響から著しい変化が起きていると著者はみていて、ここを出発点にニートを含めて分析しているもの。特集全体が、労働問題だけで捉えるなという視点のようだが、小倉さんのこれもその一環に位置するようだ。自分のようなものから見ると全能感なんて一体どうやって養われるんだ、と思ってしまうが、それじゃあコイズミ現象にしろネット空間にしろ、世の中が見えないのだということが、これを読んで少し分かった。
by kienlen
| 2006-05-16 12:39
| 読み物類
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