『生き心地の良い町―この自殺率の低さには理由がある』

愛読している本の紹介サイトで知って注文。このところこのサイトからの注文率が高い。で、こちらは日本で一番自殺率の低い徳島県の小さな町で参与観察、聞き取り、既存のデータなどを駆使して、なぜ自殺が少ないかを探ったもの。たまたま隣町の自殺率が高いので比較もできているのが興味深い。そして結論というか考察は、なかなか納得できるものだった。自殺については率の高い理由の研究はあるが低い理由の研究はほぼないそうで、目の付けどころもなるほどな。こういう本を読むと、あー、調査研究いいなあ、と思ったりする。そういう刺激を与えてくれるものでもあった。とにかく今年は無理なので来年になったら今後のもうそう長くない期間について考えよう。と、確か昨年も思っていた気がする…。そんなもんですね。

さて、なぜ自殺が少ないかの理由、というか、それを探るためのこの町の特徴として挙がっているのが、まず人物評価をする時に社会的地位や学歴など貼りついているもので判断するのではなく人物本位というもの。これの何が大事かというと、町長やら地域やらのリーダー選びに大きく関係する。ちゃんと働ける人を選ぶわけだ。投票行動を人から頼まれたとか義理とかでしないで自分の判断で行うというのもあまり聞かない特徴。それと色々な人がいて良いのだという多文化主義的価値観を共有していること。自己評価が低くない。やり直しがきくと考えている、などなど。こういう要素が全体にどういう空気を醸すかといえば、人間関係は緩く、噂話が発生しても長続きはせず、人物評価は固定的でないから排他的にならない。読みやすさへの配慮らしくエッセイ風にしているが、博士論文を下敷きにしているので内容は学術的で納得できる。この町の人々のようなあり方に私は賛成。息苦しくしない知恵がある。その知恵がなぜついたかは町の歴史から考察している。
by kienlen | 2014-04-06 08:53 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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