『殺人犯はそこにいる』

副タイトルは「隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件」。桶川ストーカー殺人事件を読んで感動した清水潔著だったので注文。読み始めて友人にも勧めたら彼女も買ったそうだ。慄然、な内容だった。タイトルから犯人が隣にいるんですよ、的な怖さを想像させるが、それはそれとしてもっと怖いのは別なところにある。桶川事件でも警察の対応が大問題であることは突いていたが、こちらは輪を何重にもかけたすごさ。著者の思い過ごしであってくれた方が、少なくとも自分の平穏は保つことができる。でも、ここまで綿密な検証を行って理にかなった推論を示されて、これが著者の単なる思い込みと思うのはひじょうに難しい。

栃木県と群馬県境の半径10キロ圏内で5件の幼女殺害、あるいは行方不明事件が発生していることを疑問に感じた著者が日本テレビの番組を製作しながら独自に調査を進め、なんと真犯人らしき人物を特定する。ところが連続事件としか考えられない事件群のひとつが足利事件。冤罪を訴えてはいるもののそれが証明されない限りは連続事件にはなり得ない、ということでまず冤罪晴らしから始めることになる。この過程で驚愕の事実が明らかにされていくわけだが、ともかく無実で釈放。そしていよいよ真犯人逮捕に向けて捜査機関は動き出す…となるとこの本が書かれる必要性は今よりは低かったかもしれない。なぜ動かないのか。それが慄然の核。著者への敬意を表するため、せめて本の紹介くらいは周囲にしていきたい。日本国民として心得ておいた方がいい知識満載ともいえる。
by kienlen | 2014-02-13 08:30 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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