『自殺』

ネットで何かの加減で知ってアマゾンで注文してみた。末井昭さんという著者は知られた編集者ということ。母親が隣の家の青年とダイナマイト自殺したという自らの体験から始まり、全体的に、自分の経験と視点を中心にしながらインタビューなどを織り交ぜてあるとっても読みやすい本。ブログに手を入れたものだそうだ。ムンクをもじった表紙絵がかわいらしい。古き良き時代的な香りがいっぱいで、今は違うだろうなあという感じがずっとあった。この時代の東京のこの業界の雰囲気ってこうだったんだろうなあって感じ。もうちょっと自殺についての直接的なインタビューがあるかと想像していたので、そこはちょっと違った。でも多分これで励まされる人はいるんじゃないだろうか。

面白かったのは自殺の名所として知られる富士山麓の樹海の話しと、自殺の多い県として知られる秋田県の法医学者の話し。聞く側の姿勢がそうさせているのだと思うけど、ふざけた意味じゃなくて笑える。笑いも悲しみも紙一重だから。そしてたいていのことは笑う方がいいじゃないかと思う。この本の底流にあるのもそんな笑いだろうと感じた。ただ一抹感じた物足りなさは何かなあ。面白かったんだけど、読後の充実感というのが何か今ひとつな感じ。これが何かは、そうだな、エッセイってそうか、そういうことだな、何かの解決に向かうわけじゃないんだから。どうもミステリーとか事件ものとかがクセになっているのかもしれない。あるいはエンターテイメント。そういえば、こういうスタイルの本ってあまり読まないものな。人生に絶望していて何かのとっかかりが欲しいみたいな人には役に立つんじゃないだろうか。なんとかなると感じられそう。でも本を読む元気があるのはまだマシなんだとも思う。
by kienlen | 2014-02-03 17:12 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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