『トラオ―徳田虎雄 不随の病院王』

青木理著の徳洲会創業者徳田虎雄の評伝。徳田虎雄はALSとのことで大変に気の毒だ。ずっと前にALSの闘病記を読んだことがあって、自分にしては珍しく結構覚えている、それだけ鮮烈だったひどく残酷な病気。著者は雑誌でよく見るし、がんばって欲しいと思っている人なので2冊一緒に注文してこっちを先に読んだ。ちょっと印象が違って、慣れるまでは何だか読みにくい感じがあったけど、途中から慣れてきた。徳洲会のことはまったく知らないのにマスコミの力ってすごいなと思うのは、名前だけは聞いたことがあって、何やら相当悪いことをしているらしいという印象だけは強く持ってしまっている。つまり特に興味があるというわけじゃなくてニュースで断片的に見るだけだから。

この本が徳田虎雄や徳洲会をかばっているというわけではないけど、読んでいる限り、主人公は大変に度量の大きい魅力的な人だ。私はこういう人は、こうじゃないタイプよりも多分好きかも。で、その人物像が周囲の人々の証言によって浮き彫りになっていくあたりは、あまりの面白さに声を出して笑った。それと印象的だったのは政治家の嘘つきぶり。つまり、うそが身に付いていること。身に付いているから当人にとっては嘘ではないのだろう、というのがすっきり分かる。いっそ役者がやればあ、みたいな。著者の主観をところどころぽろっていうか、別に無意識じゃなくて意識的に書いていて、まあ書くにあたって無意識ってことはないだろうけど、へえ、ここでこう感じるんだ、ホントかなあ、と感じさせるところが面白いというか、自分が勝手に描いていたイメージと違う感じだった。それにしても病気は残念。健康でいたならどんな展開になったんだろう。残念だ、それでもここまでやっているのが猛烈にすごい。やっぱり本っていいな。しばらく我慢しようと思っていたが、思い直して何冊か注文したので楽しみ。
by kienlen | 2013-12-25 08:20 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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