『大人のいない国』

鷲田清一と内田樹の対談+2人の短いエッセイという構成。鷲田先生は、何だか読みにくくて読破できない印象があったが、この薄い本で内田先生との対談だったらいけるかなと思って買ってみた。薄いけど中身は結構濃くて、特に終章の「身体感覚と言葉」は、自分もすごく関心があることでもあり、大変面白かった。赤ちゃんがおしっこする時を母親が感じる身体感覚の一致とか、日本語に豊富だと言われているオノマトペについても、こういう見方だとなるほどなあと感じた。内田先生の武道からの発想はいつもながら腑に落ちる感じがある。いちいち書くのは面倒だけど、この章は保存版。あと政治家の言葉の日欧の違いというのに納得。理の裏付けが必要なヨーロッパの政治文化と異なり、日本の政治文化だと感情的な裏付けないと政治的な発言とか行動ができない、という部分。

なるほどー、その通りですね。ヨーロッパが実際どのくらいそうなのか自分は知らないが、この2人が言うんだからそんなに嘘でもないでしょう。で、その嘘に関しても、日本の政治家が嘘をついて失脚したら一人も生き延びられないが、ヨーロッパでは逆で、嘘をつくというのは失脚の理由にちゃんとなる。そして理ではなく「利」で動くのが日本という考察。場を制圧するためには怒りが一番強いから理なんてカンケ―ないのだ。これはまあ日ごろでも分かる話。泣く子に勝てないっていうし、で、それと公共の言葉、形式的な語句の関係。日本語って決まりきった言葉がすごい多いと感じていたけど、なるほど、それが一番だもんなー、と、納得してしまった。鷲田先生だけだと抽象的な世界だけど内田先生がいると、その世界と俗の世界が結び付くので分かりやすくなる。出だしの印象と違って最後は大満足、ってあくまでこの考察についてだけど。本読んでいる場合じゃないと思って買うのも借りるのも控えていたら足りなくなってきた。これを読んだのはしばらく前のこと。
by kienlen | 2013-11-29 07:42 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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