入管発表の統計から思うこと

定期購読している雑誌は何誌かあるが最も薄いのは『国際人流』というもの。法務省入国管理局の広報誌みたいなもので、入管法の改正とか入管の公式見解はこういうので見るのが楽なので、一応保存している。本の紹介コーナーにたまに掘り出し物があり、若槻泰雄『外務省が消した日本人-南米移民の半世紀-』は鬼気迫るものがあってとても良かった。国策で移民を送り出す側の内部にいた人が本気で書いているのだから読み応え抜群。外務省の広報誌でもこういう本は紹介したのだろうか。もう1つの楽しみは、毎年5月に掲載される「本邦における不法残留者数」という特集。この統計を法務省が取り始めたのは90年から。で、92年から94年までタイはトップの座を占めていたのだが、毎年減少して最新の統計では4位になっている。

不法残留者数の国籍別推移を見てみると、タイの減少率が格段に高いことが分かる。全体で19%、男は20%を超えている。どうりでこのあたりのタイ人もどんどん消えていくわけだ。こんな国は他にない。上位の韓国も中国も数%だし、3位のフィリピンに至ってはほとんどの国が減少している中で僅かながら増加している。この統計だけでは入管や警察に逮捕された場合と、入管に自主出頭して強制退去される場合の数をそれぞれ知ることができないので想像でしかないが、どうもタイ人は一番捕まりやすいように思われる。まず外見。中国や韓国のように日本人と見分けがつきにくい、ということが少ない。それと、この両国と違ってオールドカマーがいないし、特に男性でビザがある人は少ないので、多分職務質問もされやすいのではないだろうか、と思ってしまう。タイ人は一般にひっそりしている。デモもしないし、権利の主張にも長けていない。留学生や就学生等の一部を除いては、充分な教育を受けていない人が多く読み書きのできない人もいる。運命を切り開くというよりは、受け入れる方を選びがちに見える。こういうことが、今後の日本の外国人政策とあいまってどういう方向に行くのか見守っていこう。
by kienlen | 2006-05-09 15:55 | タイ人・外国人 | Comments(0)

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