『キレイゴトぬきの農業論』

これ、面白かった。特に前半。寝る前にちょっと読もうと思ったら興奮してきて眠れなくなってしまった。ここで書かれていることは多分珍しいことではないだろうけど、かといって書いちゃう人がいるかというと別問題。漠然と感じていることと、それを文章できちんと表現することの間にはすごい距離があり、うまいこと乗り越えると、そうそうその通り、というのが出来上がるのだと思うけど、そんな風に感じる内容だった。つまりマニアックでなくとても一般的で多分多くの人は納得できそう。ブログがきっかけだったようだけど、本としてうまいこと読ませる内容になっていると思った。自分があと20歳若かったら、元々興味ある分野だけに、刺激されて農業したくなるかもなあ。これが10歳程度だったら迷うところだけど、さすがに20歳となると戻りようも迷いようもない。でも、農業に限らず生き方というか、王道を行っているわけではない庶民の参考になる。まあ、そのくらい新鮮で元気のいい内容で、何より、これなら自分にもできそう、と思えるのがミソである。そして多分できるのだ。珍しいことをしているんじゃくて、どっちかっていうと、現状当然視されていることを、それってどうなの、と疑うことで実は本質に近づくということはままある。

著者は茨城でスタッフ6人を雇用する農園を経営している。祖父母の土地を継いだようだが、農地法に守られる農業を問題視していて農地を流動化させることで新規参入者が強い農業を行うようになると主張している。有機農業を行っている理由が、自分にとって違和感なし。著者の論では、人にとって安全というなら今の農薬の基準は安全であると断言している。私はこれについて賛成も反対もできるほどの根拠を持っていないが、ただ、できれば農薬は避けたいので多少高くても無農薬は選ぶ。しかし何が何でもとまでは思ってない。自分の食べ方はその考えに従っている。著者が有機農業を行う理由は土中の微生物も死んでしまうからで、土の力で美味しい野菜を、というのは理にかなっていると土の多い場所に生まれた自分は思う。それと、雑草に比べて野菜は不自然と感じている者にとって、その通りと拍手したくなる記述多々。キャベツ畑にキャベツだけ並ぶってやっぱ、不思議な光景だよな。なかなかいい所を突いている本。新書だから細かい点は気にしないとしてザックリと面白かった。希望を感じる書だし、自分の来年からの構想の参考にもなった。発想の転換ができるって何よりだな。楽しいもん。
by kienlen | 2013-09-17 11:17 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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