『獄中記』

佐藤優著。図書館で借りて半分読んだところで読みきれないなと思って購入。臥せっていた間に読んだ。タイトル通り、佐藤優が2002年に逮捕されてから獄中で書いたものをまとめたもの。友人や後輩や弁護士宛や自分のメモという体裁になっているが、そのレベルの高いことといったらびっくり。ただ、それでも分かりやすいのだからすごいなと思う。時代の転換点に起きる国策捜査という自分の状況と精読した本とそれまでの知識と外務省での経験などなどを織り交ぜて書いているのだが、たくさん出てくる本自体を読んでなくても十分に面白いというのが驚異的で感動してしまう。512日間の拘留を読書と思索の時間にあてて有意義に過している様子が目に見えるよう。接見禁止だったのも良かったようだ、というか、そうして常に自分の置かれた状況を活用しているわけだ。帯にもあるように「国家とは?」ということと、何より「人間とは?」について深く考えさせられる。

自分が何を信念にして、何のために拘留され法廷で何を主張してそれは何のためなのかということをひじょうに明快に解説してあって、それが国家とは人間とはとイコールなわけだけど、そういう話の合間には獄中のメニューとか部屋の様子とか引っ越しとか裁判を待つ間の部屋への不満とか置いておける本やノートの冊数とか細かく書いてあり、これもまた興味深い。厚いけど飽きない本。ここに出てくる本で読みたくなったのを今日買った。チェコの作家の『山椒魚戦争』というやつ。どこに訴えたいかという時に「思考する世論」という概念を作っているのも、なるほどって感じ。サバイバルの技術というか、どう生きるかという参考にもなるし、作戦を練る時の参考にもなるよなって感じ。これを読まないままに別のを色々読んでいたので、著者のイメージがちょっと変わった感はある。闘う人なのかと思っていたところがあるけど、そうではなくて対処の方法が自分的にはとても好み。実に面白かった。充実してました。
by kienlen | 2013-09-14 18:26 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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