『介護現場は、なぜ辛いのか―特養老人ホームの終わらない日常』

出版社勤務後に作家になった方がホームヘルパー2級の資格を取って特別養護老人ホームで半年弱働き、その経験を綴ったノンフィクション。何かで見て面白そうだなと思って、本屋に行く娘に買ってくるように頼んだら忘れられ、この間自分で行った時に店員さんに持ってきてもらった。文庫だし安いし、中身吟味せずに他と一緒に購入。作家さんが書いているので実に読みやすい。ストレスなし。やはりこれ、何より。自分が知らない分野なんて特にそう。で、そもそもこの本自体が、業界の人じゃないから書けるものに感じられた。部外者だからこそ見えてくる細かな疑問は、同じく部外者が見ると、その通りじゃないかと感じられる。ただ現場ではこういうことなのだというのも書いてあり、それも納得できる。多角的な視点で、作家の目だと思った。介護関連の本はそれほど読んだことがないので他と比較できないけど、初心者が読むには色々な意味で役に立つと思う。

まず実用面。この先、いかに食いつなぐかという時に考えられる業界としては介護しかないように思う。中年以上になって働く女性の多くは介護分野だし、アルバイト先もそうだ。そうなると手っ取り早い資格はホームヘルパーだ、ということであちこちに宣伝がある。そんなことを考えている人にとって、痒い所に手の届く内容が盛り込んである。というのも著者は実にそれをやっているからだ。そしてもう一歩広い視野からの指摘もあり。それと親が高齢になっている場合の介護についての予備知識として。友人に色々な介護施設で働いている人がいて、色々聞いてはいたが、例えば人間関係が難しいと言われても具体的にどうなのかが見えにくいが、こうして活字で読むと、ある普遍性は見えるので理解しやすくなる。構造的な問題が見えてくることもあり。すぐに読めてしまうが内容は充実していると思う。介護職の友人に貸すことになっているので彼女の感想も聞いてみたい。死に方を自分で決めるわけにはいかないが、改めて考えてしまうな。
by kienlen | 2013-08-10 11:18 | 読み物類 | Comments(0)

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