少年H

これも夏休み映画。試写会にて。本の方は、大変話題になったのを知っているだけで読んでない。よって映画のみ。私は、この映画、とてもいいなと思った。水谷豊と伊藤らんが夫婦だということを映画のパンフレットで初めて知って周囲に聞いたら皆さん知っていた。この実夫婦が映画の中でも夫婦役。その子どもが少年H。どうしてそう呼ばれたかはすぐに分かるようになっている。今の時代だったら、そう呼ばれるのもいじめに当たると認定されるかも、だが、戦争が近づいて自由がどんどん奪われていく時期の象徴としての意味もあると感じられる。このあたりは実に胸が痛くなる。じりじりと物が言えなくなり、昨日まで遊んでいた近所のふわふわしたお兄ちゃんがああなり、あこがれのきれいなお兄ちゃんが、さらに悲惨なことになり…。

公平で率直で慈愛に満ちた、そして先進的なクリスチャンの家庭に育つH少年は、正義感が強くて芯の強い子で観察力が鋭く、おかしなことに迎合しきれないせいでかなり危ない場面もあるのだが、やはりここまで徹底している者には神様が手を差し伸べるということなのか、何とか生き延びる。家族も同様。このあたりの生き延び方は、理想主義的でなくて、庶民の生き延びる術として参考になるが、信仰、教会という基盤があるのは強い。その信仰心厚い母と少年の仮設住宅でのやり取りなんか、あまりにリアルでハラハラ。それでもまだこの人達は生き延びたわけで、そうでない人の死が一体何だったんだ、というのをヒシヒシと感じる。大げさじゃなくて、戦前戦後の世相とか日常の描写が丁寧で、重厚というのじゃないのにズシンとくるいい映画だった。本もきっとこんな感じなんだろうか。ヒットするといいなと思う。
by kienlen | 2013-08-01 10:04 | 映画類 | Comments(0)

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