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『ヒトラーと映画』

これはこれはこれは…。こんなにゾクゾクする本とは思わず、気軽に読み始めたら、あまりの面白さに夢中。1975年発行という古本で、知人が古本屋を始めたものだから寄って見てご祝儀代わりに何かと思って、深く考えずに買ったもの。大ヒットというか、いやいや、ヒットしてほしくない内容なんだけど、この現状に。はあ、怖い。ヒトラーが映画を利用したみたいな話はよく知られているから、その方法とか、そんなことが書いてあるのかなあと思っていた。そんな単純なものじゃなかった。ドイツ人がヒットラーを生んだのである、というあたりは、ドイツを日本に変えても通じるよなと思いながら読んで背筋寒々になるのだが、最後には著者もそう書いていた。ナチスの本はそれこそ膨大にあって、私も1冊、2冊以上は読んでいるけど、どっちかというと、組織論的なものが多かったように思う。これは映画からのアプローチで、研究書よりも文学的で味わい深く、ひじょうに面白かった。

中身なんか見ないで買ったのに、だから直観力とはいえないが、当たりだったなあ。素晴らしい、感動。古さは全く感じない。今こそ読むべき本って感じたが、どうやら今は手に入らないのかもしれない。ゲッペルスの様子など、あまりの生々しさに、お隣にいるんじゃないかと感じるくらいだ。充分に寒々しくなるので暑さを吹き飛ばすにもいいかも。著者が紹介する映画のストーリーがまたよくて、実物を見るよりもいいかも、と感じるくらい。映画もいいけど言葉の力というのもやはり独特で強いものものがあると思う。感想になってないが、日記だから。
by kienlen | 2013-07-20 14:14 | 読み物類 | Comments(0)

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