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『現代タイのポストモダン短編集』

最近図書館によく行くのでついでに借りてくる本が増えた。これも偶然発見。続けて面白いタイの小説を読んで以来、タイの小説読みたいと考え続けている。これは真っ先に、インモラルアンリアルで感動したウィン・リョウワーリンの短編が出てくる。この人のはとっても読みやすく、いかにもタイ的だから、ポストモダンなのかどうかって専門的なことは分からないが、もっと読んでみたい作家。顔写真が、小さいながら載っているが、やはりいかにもタイ人の典型的な雰囲気が漂っていて好感。次が若くて亡くなった作家さん。透明な瑞々しい感性というところか。良かった。ということで6編をおさめたもの。最後の「毒蛇」というのは、タイ国内では評価されずフランス語に訳されてかなり売れてフランスの賞も受賞したそうだ。

題材として蛇がよく使われるなという感じ。自分が読んだ数少ない小説でも頻繁に登場する。それだけ身近な生き物なわけだし、バンコクにいた時だって毒蛇には遭遇したことがあった。まして田舎じゃあ、子どもが遊びに行く時も蛇は心配。ここに登場するのは巨大なキングコブラ。なかなか恐ろしい描写が続くが、大変に読み応えあり。展開がどうのストーリーがどうのというのではなく、多分解釈は色々にできる。しかしタイで小説家という職業が成り立つんだろうか。人口が日本の半分。本を読む人口はもっともっと少ないとしか思えない。この本の解説によると、タイ人の読書量の平均は年間7行とか。時間じゃなくて行数で示されると改めてすごいよなと思う。ただしどういう調査方法かは不明。大同生命国際文化基金がアジア文学の翻訳に助成している。こういう活動がなければ日本に紹介されるのはひじょうに難しいだろうからありがたいことだ。
by kienlen | 2013-05-13 15:44 | 読み物類 | Comments(0)

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