『ネグレクト』

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図書館で装丁に注目みたいなコーナーを作っていた。だから内容はマチマチ。そこにこの本があった。杉山春著。同じ著者で前に読んだ本が良かったから借りてみた。すぐに読み終えた。ネグレクトは育児放棄のことで、サブタイトルが「真奈ちゃんはなぜ死んだか」。2000年に起きた、3歳の女の子の死亡事件を追ったノンフィクション。この事件についてどういう報道をされたのか、テレビを見ないのでほとんど知らない。ダンボールに入れられて死亡というのはかすかに記憶がある程度。もちろん、たまらない内容。隙間隙間をこぼれ落ちるようにして亡くなることになってしまった経緯を淡々と検証しているもの。結局殺人罪が適用されることになった夫婦との手紙のやり取りと面会と、周辺の取材と裁判傍聴とで。

そして見えてきたこと。若い両親共にネグレクトの環境で育っていて、でも違うのは、彼らの親世代はまだ周囲に援助の手があったこと、祖父母とか地域とか。ところが次の世代になった時、親族関係にしろ労働関係にしろ、孤立したまま子育てしなければならない状況になっていることが、死にまで追い詰められる原因となっているだろうというのがサブタイトルに対する答となっている。このところ、年を取るに従って生育環境について余計に思いを馳せるようになってしまっていて、さて自分はどうなのだろうかと色々考えてしまう。今になって急にというものでもないが、幾つになったからって解決がつくというものでもないのだなということだけは感じる。この本は、両親だけを悪者にするのでもないが、かといってかばい過ぎるのでもなく、自分にとっては分かりやすいバランスで伝えているように感じられた。やはり子供は無条件にかわいそう。
by kienlen | 2013-05-09 22:04 | 読み物類 | Comments(0)

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