『海賊とよばれた男 下』

ぼちぼち読もうと思っていたのに無理。面白すぎで止められずに昨日のうちに終わってしまった。モデルになっているのは出光興産の創業者で、経済歴史小説という説明だった。こういうジャンルがあるのか、新しいのか知らない。自分としてはひじょうに興味深いジャンルであると思う。司馬遼太郎とか、自分が読まないので、読みかけてすぐ挫折したので知らないけど、こういう感じなんだろうか、と、ここまでわくわくさせるスケール感に、そう思った。何しろ扱っているものが石油である。国際的である。よって国際関係が出てくる。そのスリルと大国に蹂躙される小国の悲劇と、それをどうするかという知恵と、金と力に対しては正確な情報収集と分析能力であることを、そうか、だからインテリジェンスと呼ぶのでしょうかと思いつつ、そのスケールを秘めた主人公の魅力が、誰だって惚れるでしょうよ、という人。

これを読んでいる最中に、朝から友人にお茶飲みに誘われ、その友人の恋愛とまでいかない談義を聞いたのだけど、思わず「本が好きだから現実の男性はねえ…」などと言ってしまい「本読んでいると虚しくならない?」と覗き込まれたのだが、確かに本読んでいることで仕事が延びたりはするが虚しくはならないのは、もう現実と幻想が分からなくなっているんだろうか。その友人と雑談していて、そういうことを感じていた。それで、主人公は自分の信念でもってすごいことをやってのけるのだが、つまりやってのけるための人材がすごい方々。本の中にもそういう下りがあるけど、それぞれが会社を興したら成功するだろうと思われる逸材を幹部にごろごろ抱え、ここぞという時にはそこに配置してやり遂げるのが痛快。それは双方の圧倒的な信頼によって関係が成り立っているからで、信頼できる関係があることによってこそ、必要なことに結集できる。まあ、社会は逆方向に行っていると感じるけど、だから弱くなるよな。無駄なことが多くなって肝心なことができない。本末転倒っていうんでしょうか。その現状に活!みたいな一冊、保守的な文字通りの愛国者が読んだら感涙にむせぶだろうな。私もほとんど泣きっぱなしを上下巻でやっていたから目の腫れは引かない。父に貸そうと思う。数日は楽しめて、少なくともその後1週間は爽快な気分になれるんじゃないだろうか。爽快感の後に襲ってくるのが何かだな、問題は。
by kienlen | 2013-01-30 10:21 | 読み物類 | Comments(0)

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