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『革新幻想の戦後史』

竹内洋著。この人の本って初めてかなあ、多分。知人があまりに面白がるものだから貨してもらった。その知人というのは戦中の生まれで、多分著者と似たような年代であり、しかもここで主に描かれている知識人達の世界にいた人なので実感を持って読んだと思われることは話の節々から感じられた。保守本流を名乗る人からのお墨付き本。読む前に内容を聞いた限りではひじょうに興味深いものだった。ただ問題は時間があまりないこと。分厚い本である。こんな状況で読み始めたらまずいよなと思っているので最初は自重。とても読みやすい本で、でも知識人の世界の内輪話的な感じで読んでいたけどじきにいやいや、これは面白いって感じになって、とうとう昨日はほとんど1日ベッドにもぐって読み耽ってしまった。読書は横になっての習慣があるからこういうことになる。せめてソファにしたかったが、ソファは父のインフルから逃げてきた娘が占領していた。

実に面白い本だった。本っていいなあとまた思うとまた読みたくなり、困ったものだということになる。しかしこれが諸君とか正論の連載じゃなくて世界の連載だったらいいのになあと思った。その方が面白いと思うのだけど。この時代を生きてきたわけではない自分にとって何が面白かったかというのは、卑近で些末な現象に、これの影響かというのが見えるのが痛々しいというか、ある意味で罪というか、ということを漠然とかなり感じる部分があって、この本を読んでなるほどそういうことか、みたいなすっきり感があった。そうだ、あの人に感想を聞いてみたい、という人が何人かいる。それさえ言えそうにない人もいる。しかし最後の部分はちょっと納得しかねるところがあった。何か月並みなまとめ方というか。月並みだろうが太陽並だろうが自分にとってなるほどと思えればいいけど、ちょっと、クレームと民主主義というのは、そうなのかなあと疑問。ここまでに言及しないで本題だけで充分じゃないだろうか。
by kienlen | 2013-01-13 14:53 | 読み物類 | Comments(0)

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