人もバイクも車も通報を

アルバイトが入ったので朝から出かけた。自転車がないので徒歩45分位を見込む。畑の中の近道を通ると、柿の木の木陰に地区の掲示板があって、気を惹かれないポスター類と共に以下のような貼り紙がある。時間を気にしつつもメモしてきたので文面はそのママ。「変質者出没。不審な人物やみかけぬ車・バイクは警察へ通報を」。ここが『ドッグヴィル』の舞台のような孤立した行き止まりの町なら、この貼り紙に従ってキョロキョロしてみてもいいが、2桁番号の国道が走り、メインのJR駅から健脚徒歩圏内、私は隣の家族の家族構成を正確に知らないし、我が家は持ち家であるが、試しに外国人の夫の名前を世帯主欄に書いてみたら自治会費が50円下がって借家の金額になった、という都市化の進んだ地区である。

まさかと思うが、これがジョークでないと仮定してみよう。私はここで生まれ育ったわけではないので、ほとんどすべての人は知らない人で、今風に曲解すれば十分不審者であり、面識はあるとはいえ、隣の人が変質者でないと言い切る自信はない。そういえば伏目がちなのは怪しい。車やバイクは自分の家以外のものは全部みかけぬものだ。ということは誰を、どの車を、どのバイクを通報してもいいということになる。面白い。定職はないし、たまのアルバイトの条件なんて最悪、歳だし資格もないし今後の見通しはない。夫はいつこっそり帰国するかもしれず信用できない、子供達は金ばかりかかって恩返しなんてしてくれそうにない、えーい、何もかも気に入らない、朝から通報しまくってやれ、と思ったら実行してもいいということではないか。こういうストレス解消策を採用する人が頻出しても不思議ではない世の中である。すると警察はその対応に追われ、対応しきれなくなると無視するようになり、結果的に犯罪を起こしやすい地区になる。そう思う方が、この貼り紙で何かの効果を期待できると思うより自然な気がするのだが。
by kienlen | 2006-04-18 16:55 | 地域 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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