『わかりあえないことから-コミュニケーション能力とは何か』

平田オリザの書いたものを雑誌なんかで見て面白いなと思っていたことがあって、たまたま書店で見つけて買った。出だしが面白そうで。ところが、単なる趣味の本をちゃんと読んでいる時間、精神的余裕がずっとない。娘が図書館からどっさり借りてきたのも「いいなあ」と羨ましがるばかりで自分は無理。この本も眠る前の習慣で読んだだけで、読み流しみたいな感じだった。それが自分の状況だけのせいなのかは分からない。近代演劇の特質と日本語とか、知らないことで、なるほどと思う所は部分部分あったけど、全体にどうかというと、少し退屈だったな。多分、自分が、これまではこうだった、という総括について心から同感できないせいだと思う。それは自分が主流に属していないからだということも分かるので、それをもって本を責めることはできないけど、しかしそのズレというのは自分の場合は決定的になってしまうわけだ、ということをこの本からも感じてしまった。

で、そういう総括なしに書くことができるのかというのが課題なんだが、というのは総括が乱暴にならないわけがなく、細かく論じていたら総括じゃないもんな。つまり私の場合、小さな世界にしか想像力が働かないのかしれない。いやいや、想像力そのものは自由であっても、それとリアリティを分けて考えてしまうクセがあるのかもしれない。最近思うのだが、ここを飛び越えられる人ってたくさんいるんじゃないかということだ。で、平田オリザは演劇である。そりゃあ縦横無尽かもな。とはい、ここでの主張に違和感はない。だから最後まで一応読んだのはそのせい。つまり一般に流布している(という言い方も大雑把だな)のとは違う考えがてんこ盛りであり、こっちの方がリアル。演劇を通じての教育ということなので、これは読者対象は先生方なんだろうか。そういうテキストっぽい書き方で、それがちょっと残念というか自由な感じがあんまりしないのが読書の楽しみと点では物足りなかった。
by kienlen | 2012-12-09 08:22 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


by kienlen
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30