オロ

試写会にて。申し込んであったので行くかと奮起。このところ社会との接点が薄目なので、仕事モードで人と会う時以外は、自分って一体何してんだろうという気持ちになることが多くなった。つまり、何かこう最低限のことをしていないんじゃないかという感覚。テレビは見ないし、一般常識はないし、エステにはいかず化粧もせず、スイーツに惹かれないし、酒ばっかりだし、消費に対する欲求も相当に偏っている。皆違うんだし、特に気にすることもなかったけど、ちょっとした会話の中で自分が普通に感じた疑問などが、ひじょうに的はずれであることをひしひしと感じるようになっている。というような時にこういう映画を見るのはいいかもしれない。こういう映画を作ること自体が、きっと一般的には常識的じゃないんだろうという安心感が得られる。オロというのは少年の名前というか、日本語でいうと「坊や」みたいなものなんだろうか。母親が赤ちゃんをあやす時にオロオロって言うんだそうだ。チベットでは。

このタイトルはある意味象徴的だなんだろう。特殊な少年ではないということで。インドにあるチベット亡命政府にチベットから逃げて来た少年。なぜ逃げるかということが、何気ない日常というドキュメンタリーの中から少しずつ明かされていく。うーん、もう世界は争いと暴力に満ちているとはいえ、ひじょうに切ない経験をしているわけだが、そこは普通の男の子のことで、辛い体験を普通さの中に入れ込んでいる作り方が、大人というか老練というか、上手というか、違和感のないものだった。あまりに普通の少年なので、どうしてこういう子を選んだのかなって感じがしたけど、その辺も、だんだん納得させられてしまうというか。監督が作中にも出てきて、撮影する理由を登場人物から逆に質問されて、チベットが好きなんだよなあ、と答えるところなんか、それだけでいいじゃないか、って気になる。何人か知り合いがいたけど眠ったという人も何人かいた。しかし、人が、国がどういう道を生きるかという根源的なところに迫っていることは確かだな。私はとても眠るどころではなかった。ひじょうに地味。しかし何かしら親近感を覚える映画だった。だいたいチベット人ってどうみても日本人と同じではないですか。子供達だからファッションも同じで、何で言葉が違うのって不思議なくらいだった。
by kienlen | 2012-11-20 07:57 | 映画類 | Comments(0)

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